梅雨が近づくと、毎年のようにムカデの目撃が増えます。
「去年の梅雨に寝室でムカデを踏んだ」「子どもが庭で噛まれそうになった」という声は、この時期に特に多く聞かれます。
梅雨にムカデが増える背景には、梅雨入りの時期とムカデの産卵期が重なるという生態的な理由があります。
この記事では、自宅でできる梅雨のムカデ対策7選と、梅雨前・梅雨中・梅雨明け後の時系列チェックリスト、噛まれたときの応急処置をまとめています。
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梅雨にムカデが急増する理由|産卵サイクルを知ると梅雨対策が変わる
「梅雨は湿気が多いからムカデが出やすい」とよく言われますが、それだけが理由ではありません。
梅雨の時期とムカデの産卵期が重なっていることが、この季節の侵入が増える主な要因とみられています。
5〜6月はムカデの産卵期。梅雨の高温多湿が繁殖活動を活発にする
日本の住宅に最も多く出現するトビズムカデは、5〜6月の梅雨時期に産卵を行います。
1回の産卵で生む卵の数は平均20個、最大で50個程度とされています。
産卵後、メスは卵を体で包み込み、孵化するまでの約1ヶ月間飲まず食わずで卵を守り続けます。(参考:ダスキン・ターミニックス「ムカデは卵を何個産む?」)
ムカデは気温18℃以上で活動が活発になります。
梅雨の時期は高湿度と温暖な気温が重なり、ムカデにとって最も活動しやすい環境になるとみられています。(参考:アース製薬「ムカデの侵入を予防する3つのポイント」)
産卵から約1ヶ月で孵化。梅雨から夏にかけて子ムカデが一斉に動き出す
産卵から約1ヶ月後、孵化した子ムカデは母親のもとで2回脱皮し、やがて自力で行動を始めます。
梅雨時期(5〜6月)に生まれた個体が自立して行動範囲を広げ始めるのが、ちょうど7〜8月にかけての時期にあたります。(参考:鵬図商事「ペストコントロールの基礎知識 第19回」)
さらに、孵化した子ムカデが親離れをする9〜10月にも、住居への侵入が再び増えるとされています。
つまり、梅雨前に対策を整えておくことが、夏から秋にかけての侵入リスク全体を下げる手立てになるでしょう。
| 時期 | ムカデの状況 |
|---|---|
| 5〜6月(梅雨) | 産卵期。活動が活発化し住居への侵入が急増 |
| 7〜8月(夏) | 孵化した子ムカデが行動範囲を拡大 |
| 9〜10月(秋) | 子ムカデの親離れが始まり侵入が再度増加 |
梅雨のムカデ対策7選|自宅でできる予防と駆除の方法
ムカデを「出た後に退治する」だけでは、梅雨の時期には次々と侵入してくる可能性があります。
「侵入経路を塞ぐ」→「環境を変える」→「薬剤を使う」という流れで対策を組み合わせることで、侵入を抑えやすくなるでしょう。
ムカデが家に入る原因と侵入経路の詳細は、以下の記事でもまとめています。
対策1:換気口・ドア下・配管まわりの隙間をふさぐ
体長10cmほどのトビズムカデでも、15〜20mmの隙間があれば室内に侵入できるとされています。
侵入口として特に多いのが、換気口や通風口の網の破損部分、ドア下の隙間、配管が壁を貫通している部分です。(参考:鵬図商事「ペストコントロールの基礎知識 第19回」)
換気口・通風口の網は破れていないか目視で確認し、破損があれば交換するか防虫ネットを重ねて貼ることをおすすめします。
ドア下の隙間にはドアシールやすき間テープが、配管の貫通部分にはパテや発泡ウレタンが使いやすいとされています。
対策2:湿気の多い場所を乾燥させる
ムカデは湿気のある暗い場所を好み、床下・浴室・洗面所・台所まわりを移動経路にしやすいとされています。
気温18℃以上・高湿度の環境がムカデの活動を促す条件になるため、住宅内の湿気を下げることが侵入を抑制するのに効果的です。
たとえば以下のような対応が考えられます。
- 浴室の換気扇を入浴後も1〜2時間回し続ける
- 床下換気口の周囲に荷物を置かない
- 洗面台下の収納に除湿剤を置く
床下の湿気が特に高い住宅では、床下用の調湿剤や換気扇の設置が根本的な対策になる可能性もあります。
対策3:庭・外構のムカデが潜む場所を減らす
ムカデは庭の落ち葉の下・プランターの裏・積み重なった石・枯れ木・雨水マスのまわりなど、暗くて湿った場所に潜みます。
こうした場所が玄関や外壁に近いほど、室内への侵入距離が短くなります。
梅雨入り前に庭の落ち葉を片付け、プランターを外壁から離して置き、使っていない木材や石を整理することで、ムカデが潜める場所を減らせます。
雨上がりの翌日にムカデを見かけやすい場合は、庭の土や石まわりが発生源になっている可能性があるため、整理を優先するのがよいでしょう。
対策4:エサとなるゴキブリ・クモを先に減らす
ムカデは肉食性で、ゴキブリ・コオロギ・クモ・ミミズなどを主食としています。
室内にこれらの虫が多い環境は、ムカデにとって食料を確保しやすい場所になります。
ムカデを室内で繰り返し見かける場合、ムカデが来る前にゴキブリやクモがすでに室内に存在している可能性が高いとされています。(参考:アース製薬「ムカデの侵入を予防する3つのポイント」)
ゴキブリ対策(毒餌・くん煙剤)を先に行い、エサとなる虫の数を減らすことが、ムカデを呼び込まないための根本的な一手になるでしょう。
対策5:忌避剤・殺虫スプレーを玄関まわりや外周に使う
ムカデは樟脳・ヒノキ・ハッカ・ローズマリーなどのハーブ系の香りを嫌うとされています。
これらの成分を含む忌避スプレーを玄関ドア下・窓枠・換気口まわりに吹きかけることで、侵入を抑制できる可能性があります。
室内で見かけたムカデに直接スプレーする場合は、ピレスロイド系の殺虫スプレー(ムカデキンチョールなど)が有効とされています。
スプレー後にムカデが動いている場合は、長い箸やトングを使って取り除くのが安全です。
対策6:粉剤・毒餌を家の外周に散布する
玄関前・通風口のまわり・家の基礎と庭の境界線に沿って粉剤を帯状に撒くことで、ムカデが家に近づきにくくなるとされています。
市販のムカデコロリ粉剤(アース製薬)は屋外散布タイプで、散布後約1ヶ月間効果が持続するとされています。
毒餌タイプのムカデコロリ駆除エサ剤は、誘引してから駆除するタイプで、粉剤と組み合わせると対応範囲を広げやすいでしょう。(参考:アース製薬「ムカデの駆除・対策」)
梅雨入り前(4〜5月)に散布しておくと、産卵期のムカデが家に近づく前に対処できます。
対策7:くん煙剤で室内のムカデを一掃する
すでに室内にムカデが侵入している可能性がある場合、くん煙剤による部屋全体の処理が効果的です。
KINCHO(大日本除虫菊)のムカデムエンダーは有効成分がメトフルトリン・フェノトリンで、6畳あたり4プッシュを噴射し30分間密閉することで部屋の隅々まで成分が行き渡るとされています。(参考:KINCHO「ムカデムエンダー」製品ページ)
くん煙剤の使用前後は、ムカデの侵入口になっている隙間をふさいでおく必要があります。
室内の処理だけで終わらせると新たなムカデが侵入してくるため、対策1〜6と組み合わせることをおすすめします。
梅雨前・梅雨中・梅雨明け後のムカデ対策チェックリスト
ムカデ対策は「梅雨になってから始める」では遅い場合があります。
産卵期に入る前から準備を進め、梅雨明け後の子ムカデの親離れ時期まで対策を維持することが、年間を通じた侵入抑制につながるでしょう。
梅雨入り前(4〜5月)に済ませておきたいこと
産卵シーズンが始まる前のこの時期が、ムカデ対策を整えるうえで最も余裕のあるタイミングです。
侵入口の点検から外周の粉剤散布まで、梅雨入りまでに以下を済ませておくと対策の土台が整います。
- 換気口・通風口の網の状態を確認し、破損があれば交換する
- ドア下・配管まわりの隙間をすき間テープやパテでふさぐ
- 庭の落ち葉・プランター・不用な石材を片付ける
- 家の外周に粉剤を帯状散布する(効果の目安は約1ヶ月)
- 室内のゴキブリ・クモの状況を確認し、目立つ場合は先に駆除する
これらを梅雨入りまでに完了させておくことで、産卵期のムカデが家に近づく前に対策できます。
梅雨の最中(6〜7月)に続けること
産卵から孵化が進むこの時期は、家まわりにムカデが最も多く発生する可能性があります。
4〜5月に整えた対策の効果を切らさないように、継続的なメンテナンスが重要になります。
- 粉剤を1ヶ月ごとに撒き直す(大雨の後は早めに補充する)
- 玄関・窓・浴室まわりの忌避スプレーを2週間に1回程度補充する
- 浴室・洗面所の換気を徹底し、湿気を下げる
- 室内でムカデを見かけた場合はくん煙剤の使用を検討する
梅雨の時期は対策の効果が切れやすいため、「やった」で終わらず継続的なメンテナンスを意識することをおすすめします。
梅雨明け後(8〜9月)も油断できない理由
梅雨が明けてもムカデの侵入リスクが下がるわけではありません。
梅雨明け後も粉剤の定期散布と侵入口の点検を続け、少なくとも10月末まで対策を維持することをおすすめします。
冬(12月〜2月)はムカデが越冬して活動が極めて低下しますが、翌年の梅雨に向けた侵入口の点検は冬のうちに行っておくと、翌年の準備を早めることができます。
ムカデに噛まれたときの正しい応急処置
梅雨から秋にかけては室内でムカデを見かける頻度が上がります。
万が一噛まれたときに備えて、やってよい処置とやってはいけない処置を事前に確認しておくことをおすすめします。
やってはいけない2つの処置(口で吸う・患部を冷やす)
噛まれた直後に患部を口で吸い出そうとすると、口内から毒素が吸収されるおそれがあります。
また、患部を氷や冷水で冷やすことも避けるのが無難とされています。
冷やすことで後述する温熱療法の妨げになるためです。
43〜45℃のお湯で患部を温める温熱療法のやり方
ムカデの毒はタンパク質性のため、高温によって失活するとされています。
43〜45℃(やけどしない程度)のお湯に患部を30〜90分浸けることで、痛みや腫れを和らげやすくなるとみられています。(参考:因島総合病院・横尾光真医師「Vol.29 ムカデに咬まれたら」)
温水で洗い流した後は、市販のステロイド軟膏(虫刺されに対応したもの)を塗布し、清潔にしておきましょう。(参考:愛媛大学医学部附属病院保健管理センター「虫刺され」)
病院を受診すべき症状の目安
ムカデの咬傷後、痛みは通常8時間程度続き翌日には軽減することが多いとされています。
死亡例は報告されていませんが、まれにアナフィラキシー(全身性のアレルギー反応)が起こることがあります。(参考:因島総合病院・横尾光真医師「Vol.29 ムカデに咬まれたら」)
以下の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
- 噛まれた箇所以外に腫れ・じんましんが出ている
- 息苦しさ・めまい・動悸がある
- 発熱・嘔吐・意識がぼんやりするなどの全身症状がある
- 患部の腫れや痛みが翌日以降も悪化している
- 子どもや高齢者が噛まれた
判断に迷う場合は、症状が軽くても医療機関に電話で相談することをおすすめします。
ムカデの毒はハチ毒と共通する成分を持っているとされています。
過去にハチに刺されてアレルギー反応が出たことがある方は、ムカデに噛まれた後に全身症状が現れた場合、より早急な受診が必要になる可能性があります。(参考:日本アレルギー学会誌「ムカデアレルギーの3例」(2005年))
自宅での梅雨対策では対処しきれないと感じたら専門業者へ相談
自宅でできる対策を一通り試しても、毎年の梅雨にムカデが室内に現れる場合は、床下や基礎のまわりなど個人では確認しにくい場所が発生源になっている可能性があります。
特に以下のような状況では、害虫駆除業者への相談を検討するのが一つの選択肢になるでしょう。
- 短期間に複数匹のムカデが室内で見つかっている
- 床下や屋根裏でムカデを見かけたことがある
- 市販の粉剤・くん煙剤を試しても改善しない状況が続いている
- 体長15cm以上の大型個体が繰り返し出る
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業者に依頼した場合の費用の目安や選び方については、以下の記事でまとめています。
【FAQ】梅雨のムカデ対策でよくある質問
Q:ムカデは2階にも出ますか?
2階にもムカデが出る可能性はあります。
ムカデは壁面を伝って上階に移動することがあり、2階の換気口・窓枠の隙間・排水管まわりが侵入口になるケースも多いとみられています。
2階でも換気口の点検と粉剤の外周散布は有効な対策になるでしょう。
Q:賃貸マンションでもできる梅雨のムカデ対策はありますか?
賃貸マンションでも、管理会社への連絡なしで実施できる対策があります。
玄関ドア下・窓枠・排水口まわりへの忌避スプレーの使用、室内でのくん煙剤処理、エサとなる虫の駆除は自分でできる対応です。
換気口の網の交換や隙間ふさぎなど建物の構造に手を加える場合は、事前に管理会社に確認することをおすすめします。
Q:子どもやペットがいる家で使える薬剤はありますか?
くん煙剤・粉剤を使用する際は、子どもやペットを部屋から退避させてから使用し、換気後に戻るようにしましょう。
製品ごとに注意事項が異なるため、使用前にラベルを必ず確認することをおすすめします。
薬剤の使用を避けたい場合は、隙間ふさぎ・湿気対策・庭の整理などの物理的な対策と、ハッカ油を使った忌避を行ってください。
Q:ムカデを見つけたとき、素手で触っても大丈夫ですか?
素手で触れることは避けることをおすすめします。ムカデは刺激を受けると素早く方向転換して噛みつくことがあります。
殺虫スプレーを直接噴射するか、長い箸やトング・厚手の手袋を使って取り除くのが安全です。
捕まえる際は毒牙のある頭部(前方)ではなく尾部側から接近することをおすすめします。
Q:粉剤はどのくらいの頻度で撒けばよいですか?
市販のムカデコロリ粉剤(アース製薬)の効果持続期間は散布後約1ヶ月とされています。
梅雨の時期(6〜7月)は1ヶ月ごとに撒き直すのが一つの目安になるでしょう。
大雨の後は薬剤が流れている可能性があるため、雨が続いた後は早めに撒き直すことをおすすめします。
Q:ムカデ対策にハッカ油は本当に効きますか?
ハッカ油にはムカデが嫌う香り成分が含まれており、忌避効果が期待できるとされています。
ただし、ハッカ油の揮発性は高く、香りが飛ぶと効果が薄れるため、定期的な補充が必要になります。
市販の忌避スプレーに比べると持続性が短い傾向があるため、玄関や窓まわりへの補助的な対策として取り入れるのが現実的でしょう。
まとめ
梅雨にムカデが増える最大の理由は、5〜6月が産卵期と重なるためです。
孵化した子ムカデが行動範囲を広げる7〜8月、さらに親離れをする9〜10月にかけて、侵入リスクは2段階で高まります。
自宅でできる対策は「侵入口をふさぐ(対策1)」→「環境を変える(対策2〜4)」→「薬剤を使う(対策5〜7)」の順で組み合わせると、費用を抑えながら対処しやすくなるでしょう。
梅雨入り前の4〜5月に侵入口の点検と粉剤の散布を終わらせておくことが、自宅でできる範囲で最もコストパフォーマンスが高いタイミングです。





